平塚の七夕は湘南スターモールを中心に飾りが展示されるが、夜店はこれと直交する通りにむしろ多く出店される。最近特に注目しているのが、平塚駅と(うなぎの)川万をつなぐ通り。あそこには絶対に見逃せない店が出る。
そもそも平塚八幡様の参道に相当する広めの路地であり、もともと旨そうな食品店が並んでいるのだ。それは、蒲鉾屋さんが作るおでん種だったり、八百屋さんが売るトロピカ?ルなフルーツだったりする。こうした店がお祭りでさらに工夫して出店してくるのだ。今年はどうなる??? すごく楽しみにしてるのだ。
最近の夜店には、直方体の肉を焼いてステーキですって、そっちの雑駁な方向に進化(?)してしまったB級フーヅもあるのだが、逆に、豪快にフルーツをさばいて割り箸をぶっさすだけ、だけど素材がむちゃくちゃ旨くてさらに環境に妙に馴染んでて、感動的なエクスペリエンスとなるものがある。これを、ウルトラ・ジャンクとここでは呼ぶ。
フーズにして、作品と呼ぶべき出来栄え。
船の上でとれとれの魚をさばいて食う、あの漁師料理に通じる、捕食に関する野生の本能を擽り呼び覚ましてくれる、何か。
七夕の吹流しって、多分にシンボリックなもので、ただの飾りじゃない。何かのメタファーだと思うのだが、平塚七夕の場合はサイズ的に吹流しの化け物と呼んだほうが適切かもしれない。背後にあるのは織姫と彦星のエピソードよりは遥かにエロチックな何かだろうとは思うのだが、長い歴史を経てそのドロドロした部分は洗い流され、祭りのフレームワークだけが残った。なんて妄想してしまうのだ。
で、そんな心の琴船に響く雰囲気というか、前頭葉を直接刺激するベクトル場のなかで、ウルトラジャンクたちはそのポテンシャルをはじめて解き放つ。なんて格好つけてわけわからんことを言いたくなる悪い癖なんだけど、もっと素直に言えば、要するに、空気が食い物を旨くする、ってことだ。物理的にきれいな山の空気ももちろんピクニックのバスケットの中身を美味しくするけど、ここで言っている空気は、いつもは空気読めと言われている、あの空気、雰囲気のことで、ケミカルな話ではない。
今年は湘南よさこいを見逃してしまったのだが、毎年自分が観覧している場所の後ろには韓国料理店があって、そこは商魂たくましく(見習え>自分)観客向けに食品を陳列している。広義の夜店といえる、かもしれない。あの雰囲気で、ちぢみを立ったまま食ったら、旨いだろうなあと、思って毎年食べ損ねてしまうのだが。
よさこいの流し踊りに歩調を合わせ、夜店のはしごをして食う。これが湘南よさこいならではの、流し食い。食べるだけじゃなくて、こういう動きも合わせて、ウルトラジャンクの楽しみ方というのがあると思うのだが、どうだろうか。