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平塚のB級グルメを語るときに、老郷と花水ラオシャンの話は避けて通ることはできません。

平塚のソウルフードといえばそのタンメンであると言って間違いないでしょう。いや、B級と呼んでは失礼にあたるかもしれません。これだけ定着したソウルフードとなると、平塚では他に都まんじゅうぐらいしか思い浮かびませんし。

B-1グランプリ(要するに全国B級グルメ選手権)に出しても恥ずかしくない水準であると、そう私は確信します。ちなみに過去にタンメンで優秀な成績を収めた者はいない。メニューとしては、地味、かもしれない。あまりに伝統的でディープで地域に愛され続けているがゆえに、敢えて全国区で勝負に出て不躾な連中の無責任な誹謗にさらされる必要もないはずだ。

 

もともとは老郷が元祖であり、花水ラオシャンがのれん分け店だそうだ。その前を通るたびに営業時間外であって残念ながら食べることができず、そして先日ひさしぶりに食べたのが駅前北口地下1階の老郷。もとは回転寿司の店であったことがよくわかる。食券を買って、注文を伝える。何も入らないタンメンを頼む。トッピングを追加しないケチな客も珍しいだろうが、このほうがタンメン自体の味がわかりやすい。

 

ええ、酸っぱ美味しい、ですよ。正確にはスターモールじゃなくて、駅からスターモールへのアクセスルート上にある店、ということになります。

 

私が知っている老郷はこの宝町店の他には、紅谷町の本店。花水ラオシャンは本店八幡店横内店田村店。厚木にもラオシャンが1軒。横浜の東白楽にも老郷の支店があったという。横浜店(港北区篠原台町15-2)はGoogleストリートビューで見ると、確かに「老郷」の看板はそこに。ラオシャンも須賀店と大神店は残念ながら閉店。

 

ラーメン店の栄枯盛衰は激しいとは聞いていたが、平塚とて例外ではなかったか。この酸っぱ美味い味が後々の世代にも受け継がれ愛され続けてゆくことを望んでやまない、です。

平塚の七夕は湘南スターモールを中心に飾りが展示されるが、夜店はこれと直交する通りにむしろ多く出店される。最近特に注目しているのが、平塚駅と(うなぎの)川万をつなぐ通り。あそこには絶対に見逃せない店が出る。

そもそも平塚八幡様の参道に相当する広めの路地であり、もともと旨そうな食品店が並んでいるのだ。それは、蒲鉾屋さんが作るおでん種だったり、八百屋さんが売るトロピカ?ルなフルーツだったりする。こうした店がお祭りでさらに工夫して出店してくるのだ。今年はどうなる??? すごく楽しみにしてるのだ。

最近の夜店には、直方体の肉を焼いてステーキですって、そっちの雑駁な方向に進化(?)してしまったB級フーヅもあるのだが、逆に、豪快にフルーツをさばいて割り箸をぶっさすだけ、だけど素材がむちゃくちゃ旨くてさらに環境に妙に馴染んでて、感動的なエクスペリエンスとなるものがある。これを、ウルトラ・ジャンクとここでは呼ぶ。

フーズにして、作品と呼ぶべき出来栄え。

船の上でとれとれの魚をさばいて食う、あの漁師料理に通じる、捕食に関する野生の本能を擽り呼び覚ましてくれる、何か。

七夕の吹流しって、多分にシンボリックなもので、ただの飾りじゃない。何かのメタファーだと思うのだが、平塚七夕の場合はサイズ的に吹流しの化け物と呼んだほうが適切かもしれない。背後にあるのは織姫と彦星のエピソードよりは遥かにエロチックな何かだろうとは思うのだが、長い歴史を経てそのドロドロした部分は洗い流され、祭りのフレームワークだけが残った。なんて妄想してしまうのだ。

で、そんな心の琴船に響く雰囲気というか、前頭葉を直接刺激するベクトル場のなかで、ウルトラジャンクたちはそのポテンシャルをはじめて解き放つ。なんて格好つけてわけわからんことを言いたくなる悪い癖なんだけど、もっと素直に言えば、要するに、空気が食い物を旨くする、ってことだ。物理的にきれいな山の空気ももちろんピクニックのバスケットの中身を美味しくするけど、ここで言っている空気は、いつもは空気読めと言われている、あの空気、雰囲気のことで、ケミカルな話ではない。

今年は湘南よさこいを見逃してしまったのだが、毎年自分が観覧している場所の後ろには韓国料理店があって、そこは商魂たくましく(見習え>自分)観客向けに食品を陳列している。広義の夜店といえる、かもしれない。あの雰囲気で、ちぢみを立ったまま食ったら、旨いだろうなあと、思って毎年食べ損ねてしまうのだが。

よさこいの流し踊りに歩調を合わせ、夜店のはしごをして食う。これが湘南よさこいならではの、流し食い。食べるだけじゃなくて、こういう動きも合わせて、ウルトラジャンクの楽しみ方というのがあると思うのだが、どうだろうか。